新リース会計基準で何が変わる?中小企業への影響と今すぐやるべき準備を徹底ガイド

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2026年にも適用が開始される見込みの「新リース会計基準」は、中小企業の会計処理に大きな変革をもたらします。従来のリース取引の考え方が根本から変わり、多くのリース契約が貸借対照表に計上される「オンバランス化」が原則となるため、財務諸表や経営指標に与える影響は決して小さくありません。本記事では、新リース会計基準の背景から、現行基準との具体的な違い、中小企業が直面する会計処理の複雑化や資金調達への影響まで、網羅的に解説します。さらに、今すぐ始めるべきリース契約の洗い出し、会計システムの改修、社内体制の構築といった具体的な準備と対応策を徹底ガイド。この変更を乗り越え、むしろ経営改善の機会とするための道筋を明確に示します。

目次

新リース会計基準とは その背景と目的を解説

「新リース会計基準」とは、リース取引の会計処理方法を大きく変更する新たな基準を指します。これは、国際的な会計基準の動向に合わせ、企業の財務状況をより実態に即して透明化することを目的として導入が検討されています。従来のリース会計では、特定のリース契約が貸借対照表に計上されない「オフバランス」の状態にありましたが、新基準では原則としてほとんどのリース契約が貸借対照表に資産と負債として計上されるようになります。これにより、企業の真の負債状況や資産利用の実態が、財務諸表を通じてより明確に開示されることになります。

新リース会計基準が導入される背景

新リース会計基準が導入される背景には、主に以下の3つの大きな理由があります。

一つ目は、国際的な会計基準との調和です。すでに国際財務報告基準(IFRS)ではIFRS第16号「リース」が、米国会計基準ではASC 842「リース」が導入されており、世界の主要な企業はリース取引をオンバランスで処理しています。日本企業が国際的な投資家や取引先から比較可能な財務情報を提供するためには、国際的な会計基準に合わせたリース会計基準の導入が不可欠とされています。

二つ目は、オフバランス取引の是正と財務情報の透明性向上です。従来のリース会計基準では、オペレーティングリース契約が貸借対照表に計上されない「オフバランス」の状態で処理されていました。これは、企業が実質的に資産を使用する権利と、それに対する支払い義務を負っているにもかかわらず、その負債が財務諸表に反映されないことを意味しました。結果として、企業の負債水準が過小評価され、財務状況が実態よりも良く見えてしまうという問題がありました。新基準は、このようなオフバランス取引を是正し、投資家や債権者が企業の真の財務レバレッジ(負債比率など)を正確に把握できるようにすることで、財務情報の透明性を高めることを目的としています。

三つ目は、経済実態の会計へのより正確な反映です。リース契約は、実質的に資産の利用権を企業が取得し、その対価を支払う義務を負う経済的実態を持っています。新リース会計基準は、この経済的実態を会計上も正確に表現し、企業の事業活動における資産の利用状況とそれにかかる義務を明確にすることで、企業の経営状況をより適切に評価できるようにすることを目指しています。

現行リース会計基準との主な違い

現行のリース会計基準と新リース会計基準では、リース取引の分類方法、財務諸表への計上方法において、以下の表に示すような大きな違いがあります。

項目 現行リース会計基準(原則) 新リース会計基準(原則)
リース区別 ファイナンスリースとオペレーティングリースに区別 ほとんどのリース契約で区別を廃止(原則としてオンバランス)
貸借対照表 ファイナンスリース:資産(リース資産)、負債(リース債務)
オペレーティングリース:オフバランス(資産・負債計上なし)
ほとんどのリース:使用権資産とリース負債を計上(オンバランス化)
損益計算書 ファイナンスリース:減価償却費、支払利息
オペレーティングリース:賃借料(一括費用)
ほとんどのリース:使用権資産の減価償却費とリース負債の支払利息
キャッシュフロー計算書 ファイナンスリース:元本返済は財務活動、利息は営業活動または財務活動
オペレーティングリース:賃借料は営業活動
ほとんどのリース:元本返済は財務活動、利息は営業活動または財務活動

最も大きな変更点は、従来のファイナンスリースとオペレーティングリースの区別が原則として廃止され、ほとんどのリース契約が貸借対照表に資産(使用権資産)と負債(リース負債)として計上される「オンバランス化」されることです。これにより、企業の貸借対照表は、リース契約によって使用している資産とその支払い義務をより正確に反映するようになります。損益計算書においても、オペレーティングリースとして処理されていた賃借料が一括で費用計上されるのではなく、使用権資産の減価償却費とリース負債の支払利息に分かれて計上されるようになります。キャッシュフロー計算書においても、支払リース料の取り扱いが変更され、企業の資金の流れの評価にも影響を与えることになります。

新リース会計基準の適用時期と適用範囲

日本の新リース会計基準は、現在、企業会計基準委員会(ASBJ)が公開草案を公表し、具体的な適用時期について検討が進められています。国際的な会計基準であるIFRS第16号や米国会計基準ASC 842の導入状況を踏まえ、日本においても近い将来の適用が想定されています。一般的には、上場企業から先行して適用され、中小企業には一定の猶予期間が設けられたり、簡便な処理が認められたりする可能性が高いと見られています。

新リース会計基準の適用範囲は、原則としてすべての企業が対象となります。ただし、国際的な会計基準で認められているように、日本基準においても、中小企業や特定のリース契約に対しては、事務負担を軽減するための特例が設けられる見込みです。具体的には、リース期間が12ヶ月以内の「短期リース」や、個々のリース資産の価値が低い「少額リース」については、オンバランス処理の適用を免除し、従来通りの費用処理を認めるといった簡便な会計処理が適用される可能性があります。これにより、中小企業が新基準へ対応する際の負担が軽減されることが期待されます。適用されるリース契約は、賃貸借契約であっても、その経済的実態がリースに該当するものであれば、新基準の対象となります。

中小企業が知るべき新リース会計基準の変更点

新リース会計基準:オンバランス化のイメージ 【現行基準】 貸借対照表 (B/S) 資産 負債 純資産 オペレーティング・リース (B/Sに計上されない=オフバランス) 原則すべて計上 【新リース会計基準】 貸借対照表 (B/S) 資産 使用権資産 (資産計上) 負債 リース負債 (負債計上) 純資産 総資産の増加 (ROA低下の要因) 自己資本比率の悪化リスク ポイント:貸借対照表(B/S)が膨らむ これまで見えなかった「使用権」と「支払い義務」が可視化されます

新リース会計基準の導入は、中小企業の会計処理や財務状況の開示方法に大きな変化をもたらします。特に、これまで「オフバランス」として扱われていたリース取引が「オンバランス」化される点が最も重要な変更点です。ここでは、具体的に何がどのように変わるのかを詳細に解説します。

リース取引の会計処理がどう変わるのか

新リース会計基準では、現行のリース会計基準とは異なり、リース取引の本質的な経済的実態をより正確に財務諸表に反映させることを目的としています。これにより、リース契約の会計処理が根本的に見直されます。

オンバランス化の原則とは

新リース会計基準の最も重要な変更点は、ほとんど全てのリース契約が「オンバランス化」されるという原則です。オンバランス化とは、これまで貸借対照表に計上されていなかったリース取引について、そのリース契約から生じる「使用権資産」と「リース負債」を貸借対照表に計上することを指します。

具体的には、リース契約を締結した企業は、リース物件を使用する権利(使用権)を資産として認識し、同時に、将来にわたってリース料を支払う義務を負債として認識します。これにより、企業が実質的に支配している資産と、それに伴う負債が財務諸表に適切に表示され、企業の真の財務状況がより透明に開示されることになります。

ファイナンスリースとオペレーティングリースの区別廃止

現行のリース会計基準では、リース取引は「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」に大別され、それぞれ異なる会計処理が適用されていました。特に、オペレーティングリースは原則として貸借対照表に計上されない「オフバランス」取引として扱われていました。

しかし、新リース会計基準では、このファイナンスリースとオペレーティングリースの会計上の区別が原則として廃止されます。これにより、これまでオフバランスとして処理されてきた多くのオペレーティングリースも、原則として全てオンバランス化の対象となります。つまり、リース契約の内容がどうであれ、企業がリース物件を使用する権利を持つ限り、その取引は貸借対照表に資産と負債として計上されることになります。ただし、短期リース(リース期間が12ヶ月以内)や少額リース(リース資産の価値が少額であるもの)については、簡便な処理が認められる場合があり、引き続きオフバランス処理が可能なケースもあります。

財務諸表への具体的な影響

リース取引のオンバランス化は、企業の財務諸表、特に貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書に具体的な影響を与えます。これらの変更点を理解することは、中小企業が新基準に対応する上で不可欠です。

貸借対照表への影響

新リース会計基準の適用により、貸借対照表にはこれまで計上されていなかった項目が登場し、企業の財務状況の見え方が大きく変わります。主な変更点は以下の通りです。

項目 現行基準(オペレーティングリースの場合) 新リース会計基準(オンバランス化後)
資産 リース資産は計上されない 使用権資産(またはリース資産)として計上され、資産総額が増加
負債 リース債務は計上されない リース負債として計上され、負債総額が増加
自己資本比率 影響なし 負債増加により悪化する可能性がある
総資産利益率(ROA) 影響なし 資産増加により悪化する可能性がある

これらの変化は、企業の財務健全性を示す指標に直接的な影響を与え、金融機関からの評価や資金調達条件に影響を及ぼす可能性があります。特に、自己資本比率や総資産利益率(ROA)などの指標が悪化する可能性があるため、事前に影響度を把握し、対策を検討することが重要です。

損益計算書への影響

損益計算書においては、これまで「リース料」として一括で計上されていた費用が、新リース会計基準では「減価償却費」と「支払利息」の2つの費用に分解されて計上されるようになります。

  • 減価償却費:計上された使用権資産に対して、リース期間にわたって定額法などで償却されます。
  • 支払利息:リース負債の残高に応じて、利息相当額が費用として計上されます。

この変更により、リース期間の初期には支払利息の割合が高くなるため、費用が大きく計上される傾向にあります。これにより、特にリース導入初期の営業利益や経常利益が減少する可能性があります。ただし、EBITDA(税引前・利払い前・減価償却費償却前利益)については、減価償却費と支払利息が営業費用から除外されるため、改善する可能性があります。リース期間全体での総費用額は大きく変わらない場合が多いものの、期間ごとの費用計上パターンが変わるため、業績分析の際には注意が必要です。

キャッシュフロー計算書への影響

キャッシュフロー計算書においても、新リース会計基準の適用は重要な影響を及ぼします。

項目 現行基準(オペレーティングリース) 新リース会計基準
リース料の支払い 営業活動によるキャッシュフロー
  • 元本部分:財務活動によるキャッシュフロー
  • 利息部分:営業活動によるキャッシュフロー(原則)または財務活動によるキャッシュフロー

この変更により、営業活動によるキャッシュフローは見かけ上増加する一方で、財務活動によるキャッシュフローが減少します。企業が本業でどれだけキャッシュを生み出しているかを示す営業活動によるキャッシュフローが改善されるため、一見するとポジティブな変化に見えるかもしれません。しかし、これはあくまで区分変更によるものであり、企業全体のキャッシュフローの総額(フリーキャッシュフロー)に直接的な変化はありません。分析を行う際には、この区分変更を理解しておくことが重要です。

新リース会計基準が中小企業に与える影響と課題

新リース会計基準が中小企業に与える影響 会計処理の複雑化 オンバランス化 全リース取引のBS計上 減価償却・利息の計算 減損処理の検討が必要 専門知識・システム改修 財務・戦略への影響 財務指標の悪化 自己資本比率の低下 負債比率(D/E)の上昇 ROA(総資産利益率)低下 融資審査・格付への懸念 情報開示の負担増 注記情報の充実 リース負債の内訳開示 将来支払額の集計 契約内容の定性的情報 監査対応の工数増加 対策:早期の影響額試算と、リース vs 購入の戦略的見直しが不可欠

新リース会計基準の導入は、多くの中小企業にとって、会計処理の複雑化、財務指標への影響、そして情報開示の負担増加という複数の課題をもたらします。これらの影響を正確に理解し、適切な対策を講じることが、今後の安定した企業経営において不可欠です。

中小企業が直面する会計処理の複雑化

これまで中小企業では、リース取引を賃貸借処理(オフバランス処理)として扱うことが一般的でした。しかし、新リース会計基準では、原則としてすべてのリース取引が貸借対照表に計上される「オンバランス化」されるため、会計処理が大幅に複雑になります。

具体的には、従来のオペレーティングリース契約であっても、リース資産とリース負債を貸借対照表に計上し、損益計算書では減価償却費と支払利息を認識する必要があります。これは、従来のリース料を一括で費用計上する処理とは大きく異なり、以下のような実務上の負担が生じます。

  • リース契約ごとのリース期間、割引率、将来キャッシュフローの算定と管理
  • リース資産の減価償却方法の選択と実行
  • リース負債の利息部分と元本部分の分離計算
  • リース資産の減損処理の検討

特に、リース契約の数が多かったり、契約内容が多岐にわたる中小企業にとっては、これらの新たな会計処理を正確に行うための専門知識や、会計システムの改修・導入が喫緊の課題となります。また、これまで簡便な処理で済ませていた企業にとっては、会計担当者の業務負担が著しく増加する可能性も考慮しなければなりません。

資金調達や経営戦略への影響

新リース会計基準によるオンバランス化は、中小企業の財務体質に直接的な影響を与え、結果として資金調達や経営戦略にも波及します。

最も顕著な影響は、貸借対照表にリース負債が計上されることによる財務指標の悪化です。これにより、以下のような指標が悪化する可能性があります。

財務指標 新基準導入後の影響 具体的な影響内容
負債比率(D/Eレシオ) 悪化 リース負債が計上されることで、総負債が増加し、自己資本に対する負債の割合が高まります。
ROA(総資産利益率) 悪化 リース資産が計上されることで総資産が増加し、利益に対する総資産の割合が低下する可能性があります。
自己資本比率 悪化 負債の増加により、相対的に自己資本の比率が低下する可能性があります。

これらの財務指標の悪化は、金融機関からの評価に影響を与え、新規の借入や追加融資の審査が厳しくなる可能性があります。また、信用保証協会などの保証機関による評価にも影響が及ぶことも考えられます。

そのため、中小企業は資金調達戦略の見直しを迫られます。従来のリースによる設備投資が、財務指標悪化のリスクと天秤にかけられることになり、購入や自社保有、あるいは他の資金調達手段との比較検討がより一層重要になります。経営者は、リース契約の利用が企業価値に与える影響を深く理解し、設備投資計画や事業拡大戦略において、リースと購入のどちらが自社にとって最適かを慎重に判断する必要があります。

情報開示の負担増加

新リース会計基準では、リース取引に関する注記情報の充実が求められます。これは、投資家や債権者に対して、企業のリース活動の実態をより透明性高く開示することを目的としています。

具体的に中小企業に求められる主な注記情報は以下の通りです。

  • リース負債の内訳
  • 将来の支払リース料の総額とその内訳(1年以内、1年超5年以内、5年超など)
  • リース契約の内容に関する定性的な情報(リース資産の種類、契約期間、残価保証の有無など)
  • 損益計算書に計上された減価償却費、支払利息、変動リース料などの情報

これらの情報は、従来の会計基準では開示が求められなかった、あるいは簡略化されていたものが多く含まれます。特に、複数のリース契約を持つ中小企業にとっては、契約内容を詳細に把握し、必要な情報を収集・整理・集計する作業が大きな負担となります。

また、これらの情報開示は、監査を受ける企業にとっては、監査対応の範囲が広がることを意味します。監査法人は、開示された情報が適切であるかを検証するため、企業側はより詳細な資料の準備や説明が求められることになります。結果として、社内体制の整備や、開示に必要な情報を適切に管理・報告できる仕組みの構築が急務となるでしょう。

新リース会計基準への対応 今すぐ始めるべき準備

新リース会計基準への対応:4つの準備ステップ 01 現状のリース契約の把握 ● 契約内容の総点検 ・契約種類、期間、金額の整理 ・解約不能期間やオプションの確認 ● 財務影響の試算 ・オンバランス化によるBS/PL影響 02 会計システムの検討 ● 既存システムの評価 ・新基準(減価償却・利息)への対応可否 ● 改修または新規導入 ・複雑な計算処理の自動化 ・リース管理特化型システムの検討 03 社内体制・教育 ● 部門間連携の強化 ・経理と事業部門の情報共有フロー確立 ・契約締結時の報告ルール化 ● 従業員教育 ・新基準の影響と業務変更点の周知 04 専門家への相談 ● 専門的判断の仰ぎ ・重要性の原則適用などの判断助言 ・税務への影響確認 ● スムーズな移行支援 ・監査法人との事前協議、リスク低減

新リース会計基準への対応は、単なる会計処理の変更にとどまらず、企業の経営全体に影響を及ぼします。特に中小企業にとっては、早期からの準備と計画的な対応が不可欠です。ここでは、新基準適用に向けて今すぐ始めるべき具体的な準備について解説します。

現状のリース契約の洗い出しと把握

まず、企業が現在締結しているすべてのリース契約を詳細に把握することが第一歩です。新リース会計基準では、これまでオフバランス処理されていた多くのリース契約がオンバランス化されるため、自社のリース契約が新基準によってどのように変化するかを正確に理解する必要があります。

具体的には、以下の項目について契約書を確認し、情報を整理しましょう。

確認項目 確認内容 新基準適用時のポイント
契約の種類 ファイナンスリース、オペレーティングリース、レンタル、サービス契約など オペレーティングリースも原則オンバランス化の対象となるか
契約開始日・終了日 リース期間、解約不能期間 リース期間の算定に影響
リース料総額・支払条件 月額リース料、ボーナス払い、残価設定など リース負債および使用権資産の評価額の算定基礎
リース対象資産 資産の種類(車両、機械設備、IT機器、不動産など)、取得価額、耐用年数 使用権資産の減価償却費の算定、資産計上時の情報
オプション条項 購入オプション、更新オプション、解約オプションなど リース期間の算定や、リース負債・使用権資産の評価に影響
重要性 個別のリース契約が財務諸表に与える影響の度合い 重要性の原則に基づく簡便的な処理の適用可否を検討

これらの情報を基に、各リース契約が新基準適用によって貸借対照表に計上される使用権資産とリース負債の金額、損益計算書に計上される減価償却費と支払利息がどの程度になるかを試算し、財務諸表へのインパクトを事前に把握することが重要です。

会計システムの改修または導入検討

新リース会計基準の適用は、リース取引の会計処理を大幅に複雑化させます。これまでのオフバランス処理では不要だった、使用権資産の減価償却計算やリース負債の利息費用計算、さらには将来キャッシュフローの現在価値計算など、新たな計算処理が求められます。これらの複雑な処理を手作業で行うことは現実的ではなく、ヒューマンエラーのリスクも高まります。

そのため、既存の会計システムが新基準に対応できるかを確認し、必要に応じてシステムの改修や新たなリース管理システムの導入を検討する必要があります。

  • 既存システムの適合性評価: 現在使用している会計システムが、新基準で求められるリース負債と使用権資産の計上、減価償却費と支払利息の計算、そして関連する注記情報の作成に対応可能かを確認します。ベンダーに問い合わせて、対応予定や改修費用などを確認しましょう。
  • 新規リース管理システムの導入検討: 既存システムでの対応が難しい場合や、より効率的な管理を求める場合は、リース管理に特化したシステムの導入を検討します。これらのシステムは、リース契約情報の管理、会計処理の自動化、開示資料作成支援などの機能を提供し、新基準へのスムーズな移行と運用を強力にサポートします。
  • ベンダー選定と導入計画: 新規導入や改修を行う場合は、複数のベンダーから情報を収集し、自社のニーズに合ったシステムを選定します。導入スケジュール、費用、サポート体制などを総合的に評価し、計画的に導入を進めることが成功の鍵となります。

社内体制の構築と従業員への教育

新リース会計基準への対応は、経理部門だけでなく、リース契約を締結する事業部門や設備管理部門など、複数の部署にまたがる横断的な取り組みが必要です。そのため、社内での情報共有と連携体制の構築、そして従業員への適切な教育が不可欠です。

  • 担当部署の明確化と責任者の任命: 新基準への対応を統括する部署や責任者を明確にし、プロジェクトチームを組成します。経理部門が中心となりつつも、リース資産の調達に関わる部門との連携を強化する必要があります。
  • 情報共有フローの確立: 新たなリース契約の締結時や既存契約の変更時に、必要な情報(契約内容、リース期間、リース料など)が遅滞なく経理部門に伝達される仕組みを構築します。これにより、正確な会計処理と管理が可能になります。
  • 従業員への教育と研修: 経理部門の担当者だけでなく、リース契約に関わるすべての従業員に対して、新リース会計基準の概要、自社への影響、そして具体的な業務フローの変更点について教育を実施します。特に、リース契約の定義や重要性の判断、情報収集の重要性などを理解してもらうことで、全社的な対応力を高めることができます。

専門家への相談と活用

新リース会計基準は、その適用にあたって専門的な判断を要する場面が多く、中小企業にとっては自社のみで対応することが難しい場合があります。公認会計士や税理士、会計コンサルタントといった専門家の知見を活用することで、より確実かつ効率的に新基準への対応を進めることができます。

  • 会計処理の判断に関する相談: 個別のリース契約が新基準においてどのように会計処理されるべきか、重要性の原則を適用できるかなど、判断に迷う点について専門家から助言を得ます。
  • 税務への影響の確認: 会計上の処理変更が法人税などの税務にどのような影響を与えるか、税務上の取り扱いについて確認します。
  • システム導入や社内体制構築に関する支援: リース管理システムの選定や導入、社内体制の構築、従業員教育の計画など、実務的な側面についても専門家のアドバイスを受けることができます。
  • 監査対応の準備: 監査を受ける企業の場合、新基準適用後の財務諸表が適切に作成されているか、監査法人との事前協議を通じて準備を進めることができます。

専門家との連携は、新リース会計基準への対応におけるリスクを軽減し、適切な判断と円滑な移行を支援する上で非常に有効です。

新リース会計基準への対応を効率化するソリューション

新リース会計基準への対応は、中小企業にとって会計処理の複雑化や情報開示の負担増を伴います。これらの課題を効率的に乗り越え、正確な財務報告を実現するためには、適切なソリューションの導入が不可欠です。ここでは、特に有効なリース管理システムの活用と、その代表的な提供企業の一つであるプロシップ社のソリューションについて解説します。

リース管理システムの活用

リース管理システムは、新リース会計基準への対応を劇的に効率化するための強力なツールです。複数のリース契約を一元的に管理し、複雑な会計処理を自動化することで、手作業によるミスを削減し、経理部門の負担を大幅に軽減します。

リース管理システムの主な機能

  • リース契約情報の一元管理:契約期間、リース料、物件情報、残存価額など、全てのリース関連情報を集約します。
  • 新会計基準に基づく仕訳の自動生成:使用権資産とリース負債の認識、減価償却費、利息費用の計算、期末調整仕訳などを自動で行います。
  • 複数会計基準への対応:日本基準はもちろん、IFRS 16やASC 842といった国際的な会計基準にも対応できるシステムが多くあります。
  • 財務諸表開示情報の作成支援:貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書への影響額や、注記情報に必要なデータを自動で集計・出力します。
  • シミュレーション機能:新規リース契約や契約変更が財務諸表に与える影響を事前にシミュレーションできます。

リース管理システム導入のメリット

メリット 詳細
作業負荷の軽減 手作業による計算や仕訳作成の時間を大幅に削減し、経理部門の業務効率を向上させます。
会計処理の正確性向上 複雑な計算ロジックをシステムが自動処理することで、人為的なミスを防ぎ、正確な会計処理を実現します。
監査対応の効率化 リース関連データや計算根拠がシステムに一元管理されているため、監査時の資料提出や説明がスムーズになります。
経営判断への貢献 リアルタイムで正確なリース関連情報が把握できるため、経営層はより的確な投資判断や資金調達戦略を立てることができます。
将来的な拡張性 リース契約数の増加や会計基準の変更など、将来的な変化にも柔軟に対応できる基盤を構築できます。

プロシップ社の提供するソリューションについて

新リース会計基準への対応を検討する上で、多くの企業から信頼されているのが、固定資産管理システムで実績を持つプロシップ社が提供するソリューションです。同社は、長年の会計システム開発で培った専門知識と、日本企業特有のニーズを深く理解したシステムを提供しています。

プロシップ社ソリューションの特徴と導入メリット

特徴 導入メリット
豊富な導入実績とノウハウ 多様な業種・規模の企業へのシステム導入実績があり、そのノウハウに基づいた最適なソリューションが期待できます。
複数会計基準への柔軟な対応 日本基準はもちろん、IFRS 16やUS GAAP(ASC 842)にも対応しており、グローバル展開する企業や将来的な基準変更にも安心して対応できます。
既存システムとの連携性 既存の会計システムや基幹システムとの連携を考慮した設計がされており、スムーズなデータ連携と業務フローの構築が可能です。
手厚いサポート体制 導入前から導入後まで、専門のコンサルタントによるきめ細やかなサポートが受けられるため、安心してシステムを運用できます。
固定資産管理との統合 固定資産管理システムとの親和性が高く、固定資産とリース資産を一元的に管理できることで、資産管理全体の効率化に貢献します。

プロシップ社のソリューションは、新リース会計基準への対応だけでなく、企業の資産管理全体の高度化を目指す中小企業にとって、非常に有効な選択肢となるでしょう。自社のリース契約状況や経営戦略に合わせて、最適なシステム導入を検討することが重要です。

まとめ

新リース会計基準は、すべてのリース取引を貸借対照表に計上する「オンバランス化」を原則とし、従来の会計処理を大きく変革します。この変更は、企業の財務状況をより正確に反映させ、投資家や金融機関に対する透明性を高めることを目的としています。

特に中小企業にとっては、会計処理の複雑化、財務指標(自己資本比率など)への影響、資金調達戦略の見直し、そして情報開示の負担増大といった多岐にわたる課題が生じます。しかし、これらの変更は企業経営におけるリース取引の透明性を高め、より実態に即した財務状況を把握するための重要なステップであると捉えるべきです。

新基準への円滑な移行には、早期の準備が不可欠です。まずは現状のリース契約を詳細に洗い出し、会計システムの改修または導入、社内体制の構築、そして従業員への適切な教育を進めることが求められます。また、税理士や公認会計士といった専門家への相談や、リース管理システムなどのITソリューションの活用は、これらの複雑な対応を効率的に進めるための強力な味方となります。新基準への対応は単なる義務ではなく、企業価値向上に向けた経営改善の機会と捉え、計画的かつ戦略的に準備を進めましょう。

※記事内容は実際の内容と異なる場合があります。必ず事前にご確認をお願いします

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詳細情報

〒102-0072 東京都千代田区飯田橋三丁目8番5号 住友不動産飯田橋駅前ビル 9F

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